旅の話

大人女子(50's)の旅支度。旅の他、映画・海外ドラマの忘備録。

海外ドラマ「マーベラス・ミセス・メイゼル」感想

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写真は公式サイトより

「ザ・グッド・ファイト」のシーズン2の配信がまだ先のようなので、同じくアマゾンビデオの「マーベラス・ミセス・メイゼル(The Marvelous Mrs. Maisel)」を見始めました。

2018年ゴールデングローブ賞において、作品賞(テレビ/ミュージカル・コメディ部門) と主演女優賞(テレビ/ミュージカル・コメディ部門)を受賞した作品。

舞台は、1958年ニューヨーク。主人公ミッジ・メイゼルは、裕福な家庭に育ち、名門女子大を卒業後に完璧(と思った)男性と結婚。 子供にも恵まれ、アッパーウエストサイドで、誰もがうらやむ生活をおくっていました。 ところがある日、夫が家を出ていったことから、専業主婦だった自分の人生の大方向転換を決意。なんとコメディアン(漫談師)への道を歩み始めるのです。

正直、ストーリーだけをみると、自分好みのドラマではありませんでした。 しかし、これが面白い!

1950年代は、アメリカ女性にとっても、「良き妻、良き母親」であることを周囲から求められ、そうなることが幸せだと思っていた時代。コメディアンの才能に恵まれ、柔軟な思考の持ち主である主人公ミッジは、幸せな暮らしの中にも、ちょっと窮屈さを感じていたのかもしれません。 驚いたのは、夜寝るとき、妻は化粧もヘアスタイルも崩さずにベッドに入り、夫が寝入ってから、そっと起き上がり、洗面所で化粧を落とし髪にカーラーを巻きます。もちろん、朝は、夫が目覚める前に、化粧をしてカーラーを取ります。素顔は決してみせない…。 これってドラマ上の演出? それとも当時は一般的だったの?

ところが、夫が家を出たことによって、彼女は本来の自分の人生を取り戻します。 自覚してないかもしれませんが、もう水を得た魚のように生き生きとしています。 デパートの化粧品売り場で仕事をゲットして、毎日、地下鉄で通勤。 コメディアンとしての営業や先輩コメディアンのショーを見るために、夜も精力的にお出かけ。 「どうぜ私にはムリ」とか「私って母親失格?」とか「この先、夫がいなくてどうしよう?」とか、自己否定や負の不安要素が彼女にはありません。 「やってみたい」「楽しそう」と思ったことを素直にやってみる。すると「問題」「不安」と思っていたことは、実はたいした問題じゃないとわかったり、後から解決策がするする見つかったりする。 これは、とても共感できる生き方です。

人は、「何かをやりたい、始めたい」もしくは「何かをやめたい」と思っても、「でも…」というエクスキューズを思い浮かべてしまうことが多いと思います。 「バンドを組んでライブハウスで演奏したい」⇒「でも、夜遅く、子供を預けて趣味のためにでかけるなんてムリ」「海外事業部へ異動したい」⇒「でも、創業以来、この会社で女性社員にそのポジションが与えられたことはない」などなど。私自身も、「やりたい or やめたい」と「でも…」の間を行ったり来たりすることはままあります。

とはいえ、「でも…」要素を排除・解決できたら、その時、自分は本当にその「やりたいこと」を始めることができるのか? もし、他の不安材料があらたに持ち上がったら、そこでまたやめるのか? そもそも、その「でも…」要素を解決しないと自分のやりたいことは、本当に始められないのか? 世間一般でそう言われているから、自分もそう思い込んでいるだけでは?

主人公ミッジの才能は、コメディアンとしての才能だけじゃなく、現在ある心配事、将来起こるかもしれない不安に、思考と行動が縛られないことにあると思います。 彼女が、コメディアンとして成功への道を進んでいけるのは、彼女が裕福だからでも、子供の面倒を見てくれる人がいるからでもありません。「~するためには、まず~しなければならない」「~してからじゃないと~できない」的な固定観念がないので、問題解決能力が人一倍高く(そもそも「問題」としてとらえているかも不明ですが)、目の前にある新しい人生の扉をやすやすと開けることができるのです。

こんな女性が近くにいたら、全力で応援したくなるし、実際、ドラマの中でも彼女の周囲には協力的な人間が多い。 「周囲からなかなか認められない」「恵まれない環境のせいで、人生がうまくいかない」と思っている人からみたら、「こんなにうまくいくわけない」と思うかもしれませんが、ドラマほどじゃないにしても、「こんなにうまくいく人生」はあるし、それは本人の思考、出来事に対する受け止め方によるところが大きいと思います。

ミッジの才能を見出し、マネージャーとして彼女を支えるスージーも気になる存在。 育ちも容姿もミッジとは正反対の彼女は、自分では決してそれを「友情」とは認めないけれど、ビジネスの枠を超えてミッジを全力で支え、時には間違いを指摘してくれます。

それと「ザ・グッド・ファイト」同様、ミッジのファッションも大注目! 今すぐ全部欲しい。

ところでミッジの住でいるのは、ニューヨークのアッパーウエストサイドにある高級アパートメントですが、これって「セックス・アンド・ザ・シティ」で、シャーロットが住んでいたエリアですね。なんか縁起のよさそうな場所です。

それにしても、これもシーズン1しか配信されていません。 シーズン1は、全8話だから、もう半分見終わってしまった。 こちらもシーズン2の配信が待ち遠しいです。